園日記

阿波踊りの会 2025——「本物」と出会う行事①

*本物の踊り手をお招きして、阿波踊りをみんなで楽しみました

阿波踊りといえば、ご存知のように四国は徳島を代表する民俗舞踊です。

全国的にもよく知られファンの多い踊りですが、関東にも、阿波踊りの楽しさに魅せられて、グループをつくって熱心に活動されている方々がいらっしゃいます。

そうしたグループの一つ、埼玉県の草加市と柏市を拠点に活動されている「ほおずき連」のみなさんが、新年があけてまもない1月18日に来園され、本場仕込みの阿波踊りを披露してくださいました。

ほおずき連のみなさんが当園に来てくださったのは、2018年の初来園から数えて3回目。
最初の会は園の主宰でしたが、“本物の阿波踊り”を体験した保護者のみなさんが、その素晴らしさにほれこみ、2回目からは〈保護者有志の会・父親の会〉として会の主宰をしてくださることになり、園は協力という形で参加をしています。

当日の様子は、ほおずき連のインスタグラムでも紹介されていますが、
目の前で繰り広げられる見事な踊りに、参加した子どもたちも保護者の方も、魅入られるように楽しんでいました。

会の最後は、ほおずき蓮のみなさんの熟練の踊りをお手本にみんなで踊り、盛り上がりました。





*「本物と出会う体験」を成長の糧に

ほおずき連のみなさんのような、熟練した技能をもつ方々の動きを目の当たりにすると、いつも思うのですが、

「本物と出会う体験」というのはやっぱり素晴らしいものです。
大人の私たち保育士がそう思うのですから、感受性豊かな子どもたちならなおさらのことです。

会のあと、参加者(保護者)のみなさんからいただいたさまざまな感想の中にも、「やはりホンモノって素晴らしいなと改めて思いました」という声がありました。

「本物に出会う体験を大切にする」ということは、実は、森の樹保育園が創園以来、大事にしてきた保育の理念の一つでもあります。

「本物」というのは人が持つ技能だけではありません。食にもあれば、モノにもあります。今回の民族舞踊の舞台でいえば、踊り手の技能に加え、囃子も本物(生演奏)でした。

わたしたち森の樹の保育士は、こうした優れた技能をもつ本物の先生方から指導をいただきながら踊りや歌の練習をしているのですが、その中のひとり、(高齢のため園での指導はされていませんが)踊りの師匠である、民俗舞踊家の須藤武子先生はこのようにいわれています。

「私の稽古では録音した音は使いません。囃子は必ず生です。それは、民俗舞踊というのは生きているものだからです。生きているものには息遣いがあります。息遣いは一瞬一瞬変わっていくものです。生の音も少しずつ微妙に変わっていきます。そのように一瞬一瞬に変わる体と音が呼応して民俗の踊りというものができていくのです。踊りを覚えるというのは形を真似ることではなく、生きていることとそのままつながっているのです」

ここには、先ほどお伝えした「森の樹保育園が創園以来、大事にしてきた保育の理念」の「なぜ」(意味と理由)が語られています。

「生きていることの喜びを表現するのが民俗舞踊です」と語る須藤武子先生は、踊りの稽古のとき、参加者一人ひとりの動きを見て、それぞれに合った言葉を投げかけます。

「前にくらべて今日はここがよくなったねえ!」

そういわれると、私たち“生徒”もうれしいものです。自分の踊りを先生はちゃんと見てくれているとわかると感動して、がぜんやる気も出てきます。

須藤武子先生は、直接保育のことについては語りませんが、
「一人ひとりを大切にする保育」というのは、「子どもたちの一人ひとり違う息遣いをちゃんと感じて認めるということだよ」と、
そう教えてくれるようにも私たちは感じています。

こんなふうに、「本物と出会う体験」というのは、「生きていくうえで大切なこと」をたくさん伝えてくれるのです。

感動をとおして伝わったことはこころとからだに深く刻まれます。
それは「本物と出会う体験」からの贈りものです。


私たちは、そのような意味で、子どもたちに「本物と出会う体験」をできるだけ多くしてもらいたい、と願っているのです。

それは、そうした体験が子どもたちが成長していく過程で必ず「生きる糧」になる、と信じているからです。


【参考】「阿波踊りの会」参加者からのご感想(抜粋)
-昨年も参加し、今年もあの迫力をまた間近で見られるとワクワクしながら当日を迎え
ました。始まったときは「これこれこれ〜〜!!」とテンションが上がりました笑。

-お父さん達の参加率が高く、ご夫婦揃ってだったり。親子で参加できるのも子ども達
は嬉しかったようです。

-見るだけでなく保護者も一緒に参加出来るイベントは、とても貴重で有難い時間だなと思いました。

-実際に間近で感じる鳴り物と踊りの迫力がすごく、大人も非日常を味わえました。

-我が家の子どもは、踊りが苦手で、苦手な事を人前でやる事は嫌。だから、阿波踊りも最初は参加しませんでしたが、みんなが(親が)楽しそうに踊っているのを見て、自分も側に行きたくなり‥‥‥「阿波踊りを踊れるようになりたい!」 と翌日からの踊りの時間は積 極的に参加し始めたようです。

-子どもたち、とても真剣に見ていて、会の後には今までと踊る姿勢や顔つきが変わりました。

-子どももすっかり阿波踊りファンになり、川崎阿波踊りにも出かけて1時間熱心に沿
道で見入っていました。自宅でもうちわ片手に「いっちかけー、にかけ、さんかけて!」とかけ声をかけながら元気に自己流で練習しています!