2019年11月07日

この秋、50年も続いてきた近所のお豆腐屋さんが惜しまれてお店を閉じることになりました。
当園の創立以来、ずっとお世話になってきたお豆腐屋さんでした。
 
「給食は和食の献立」——これは15年前、森の樹保育園を始めるにあたって立てた基本方針の一つです。和食にお豆腐は欠かせません。とくに、お豆腐を固める役目がある凝固剤に、海水を煮出してつくる天然由来のにがりを使った昔ながらのお豆腐には、甘さと旨さが凝縮されていて、その味わいは格別です。

ただ、天然にがりを使った手作り豆腐は味はよくても、他の凝固剤を使ったお豆腐づくりに比べると、量が作れません。そのため、天然にがりを使う手作りのお豆腐屋さんは年々減り続け、開園当時から希少な存在になっていました。

「それでもできるなら、職人さんが天然にがりを使って手作りしてくれるお豆腐を子ども達に食べてもらいたい」——給食の献立づくりの中で、そう考えていたとき幸運にも出会ったこちらのお豆腐屋さんのおかげで、15年間、森の樹の子どもたちは、今では珍しくなってしまった「手作りの〝天然にがり豆腐〟」を食べ続けてくることができたのです。

この秋の献立にも登場した厚揚げのあんかけ



お豆腐作りは毎朝5時からの仕事だそうです。毎日届けていただいたその作りたてのお豆腐は、季節に合わせて、肉豆腐、炒り豆腐、厚揚げあんかけ、豆腐の炒め煮 味噌汁の具、そして、0歳児1歳児の離乳食にと、いろいろなお豆腐料理になりました。

暑い夏の昼には「やったあ!冷奴だ!」と子どもたちから歓声があがるほど大人気だったこのお豆腐。本当に味わい深い美味しいお豆腐でした。

無農薬七分づきご飯と味噌汁に、主菜と副菜を添えて一人分。これが森の樹の毎日の給食の基本です。この日(写真)のおかずは、根菜の煮物に厚揚げのあんかけ。食材の美味しさを引き出す和食の良さが際立つ献立です




お豆腐屋さん、長い間本当にありがとうございました。
 
さて、こうして、4軒しかなかった港北区の手作り豆腐屋さんがとうとう3軒になってしまい、「これからどうしようか‥‥‥」と悩んでいたところ、閉店するお店のご主人がお知り合いの手作りお豆腐屋さんを紹介してくれることになり、そのおかげで、森の樹の子どもたちはこれからも「手作りの〝天然にがり豆腐〟」を楽しみに毎日を過ごすことができるようになりました。本当にありがたいことだと感謝しています。

森の樹保育園の給食にはなくてはならない手作りのお豆腐。厚揚げもうす揚げも子どもたちは大好きです。

これからも、心意気あるお豆腐屋さんに感謝をしながら、毎日大事に「手作りの〝天然にがり豆腐〟」食べ続けたいと思っています。