2019年09月18日

森の樹の園庭は創立から15年、ずっと変わらず土の園庭です。
この園庭に、二本のけやきの樹があります。

10年前のけやきの幼木がいまではこんなに立派になりました

一本は10年前に、保護者の方からいただいたもの。ご自宅の庭にあった小さなけやきの木を譲り受け、園庭のテラスに植えました。
その後やってきたもう一本のけやきは生垣のかたわらに植え、私たちはこの二本のけやきを大事に育ててきました。

園に初めてけやきの木がやってきたときは本当に嬉しかったことを覚えています。

けやきは害虫もつかない丈夫な樹です。成長も早く、いまではもう大樹と呼べるぐらいに立派になり、生い茂る楕円形の緑の葉が夏の強い日差しをさえぎって園庭の日陰づくりにも役立ってくれています。
けやきは園庭にぴったりの樹木だったのです。

蝉の姿は植樹した後、最初の夏からちらほら見かけてはいたのですが、樹木の幹に蝉の抜け殻がたくさん残っていることに気がついたのは7年ぐらい経った頃でしょうか。

7年といえばちょうど蝉の幼虫が土の中でいつか訪れる樹上の夏を待っている時間です。植樹した頃にどこからかやってきた蝉が子どもを残してくれたのでしょう。
森の樹の園庭に、幼虫が住んでいてくれるようになったということですから、それはとても嬉しいことでした。

考えてみれば、けやきの木の汁は、蝉の好物。けやきが蝉を連れてきてくれた、ともいえます。

以来、夏になると、けやきの木から、蝉の大合唱が響いてくるようになりました。蝉しぐれは森の樹らしい真夏の賑わいです。



蝉の声が園庭に響き渡ると、子どもたちはすぐにテラスに飛び出して、蝉がどこに止まっているかを探して蝉取りに挑戦します。もちろん蝉を捕獲できるのは、およそ年長だけなのですが、蝉取りが始まると小さい子もみんな飛びだして見にくるのです。


今年の夏も災害級の暑さですが、森の樹の子どもたちには蝉という友達がいるから毎日が楽しいのです。

悪戦苦闘してようやく捕まえた1匹の蝉をみんなで囲んで眺めます。


手の上に乗ってもらったり、
Tシャツの蝉ブローチになってもらったり。
蝉の羽の美しさ、蝉の丸い目の可愛らしさ。子どもたちの感動はつきません。



「蝉はみんなが赤ちゃんの時よりも、お腹の中にいた時よりも、
もっと前から森の樹の庭の土の下で、赤ちゃんだったんだよ。
今は7歳。だから、みんなよりも、お兄さんお姉さん。」
「ふーん!すごいんだねえ。だから、鳴き声が大きいのか!」

そして、お別れのとき。
「蝉さん、遊んでくれてありがとう。樹に帰ってね。」
蝉はふたたび、自分の家へ、森の樹の園庭を見守るけやきの樹へと。