2023年12月17日

焚火

森の樹の冬の風物詩である焚火は、子どもたちの五感をフル動員させる行事です。

焚火の楽しさを知っている子どもたちは 準備のときから意欲満々。
「焚火の準備も自分たちでやりたい!」と、すすんで行動をはじめます。

それは、園庭を平らにするところから始まり、タイヤを並べ、薪拾い遠足に行き、拾ってきた薪のほかに、園庭に落ちている小さな木の枝まで拾い集めて薪にまとめてみたりと、着々と進んでいくのですが、こうした準備をするうちに子どもたちは新しい体験とも出会います。

たとえば、大人がのこぎりで薪木切りをしている様子に気がつくと、さっそくやってきて「やりたい!」と頼みこんでやらせてもらったり、いまはめったに使う機会がなくなったマッチで火をつけることに挑戦してみたりと、園のふだんの暮らしの中では目にしたり体験できないことに触れてみる機会があるのもこうした行事ならではのこと。

「焚火」は子どもたちの意欲を自然に引き出す力を持っているのかもしれません。

さて、拾い集めてきた薪が燃え始めると、焚火の世界に子どもたちは一気に引き込まれます。
炎のゆらぎ、煙の匂い、煙が空にあがっていくさま、薪がはぜるパチパチという音‥‥‥
子どもたちから「♪燃えろ燃えろ」と沸き起こる歌声、焼きするめや焼き芋や焼きみかんの味‥‥‥
何だか楽しくて、朝から夕方まで子どもたちは焚火のそばを離れられません。



焚火は子どもたちにも私たち大人にもいろいろなことを教えてくれます。
焚火の火が調理してくれた食べ物のおいしさを子どもたちはきっと忘れないでしょう。
その焚火を準備したのは、園庭をならしたり、薪木をまとめたりした自分たちの力だということも。

そんなふうに自分から意欲的にカラダを使うことで、知らず知らずのうちに、脚や腕の力がつき、指先の器用さも育っていくことを私たちは保育のふだんの日々の中で教わります。それは「焚火」が大人に教えてくれることです。

残念なことに焚火ができる場所そのものが少なくなった昨今ですが、
森の樹には、子どもたちの安全を確保した上で焚火を楽しむことができる土の園庭があります。
本当にありがたいことだと感謝しています。