2023年11月20日

夏の思い出2 「恵み」に感謝する夏祭り



森の樹では「お祭りの本当の意味」を伝えたいと願って、民俗舞踊の会(夏祭り)を続けてきました。「出店の綿菓子とかヨーヨーとか金魚すくい=お祭り」ではないことを森の樹の子どもたちに伝えたいからです。

お祭りの踊りは、豊作や豊漁を授けてくださっている地の神様、海の神様に、そして命をつないでくださったご先祖さまに、感謝するための踊りであり、昔は疫病鎮静の願いも込めて踊ったのだそうです。

神様もご先祖さまもわたしたちの目には見えない存在ですが、「にぎやかな音がすると、<お、なんだろう>と思って神様がやってきてくれる」と昔の人は考えていたのかもしれません。
お祭りの歌や踊りは神様やご先祖さまをお招きして「ありがとう」という気持ちを伝えるためのものなんだ、と考えると、また新しい気持ちがやってきて、一年一度の夏祭りの味わいが深まります。

ホールに用意した海の幸山の幸を前に、まずみんなで感謝の気持ちを神様に伝えます。それから、夏祭りの踊りを思い思いに楽しむのですが、いつも不思議に思うことがあります。なぜか、どういうわけか、踊っていると「純粋に楽しい」のです。笛と太鼓の音を聞いただけで“血が騒ぎ肉が踊る”といったらいいでしょうか。これはとっても不思議です。

だからでしょうか、日本だけではなく世界中にたくさんの古くからの民俗芸能が残っています。民俗芸能には、謡(うた)・楽器の演奏・踊りなどのすべてが含まれますが、どれも現地の方々のその場で生の楽器を使って演奏し、うた(謡)い、おどり、人から人へ伝えられていくものです。

そのことがとても大事なことだと思い、森の樹の職員は、うたも演奏も踊りもすべて現地の方たちから学び、先輩から後輩へと伝えてきました。
そして、現在も学び続けています。「民俗舞踊」が大好き森の樹の子どもたちの、その好きという気持ちが子どもたちの人生の“伝統”になってくれたらと願いながら。